そして僕達はオレンジ色の恋をするseason9 #14
ユノが受けです。
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お話は「続きを読む。」からです。
タイトル別お話の入口はもくじ。から。
よろしければご利用下さい。
「お疲れ様でした。」
チャンミンが挨拶をしながら深く頭を下げてスタジオを出て行こうとするのを俺は視界の端で見ながら入れ替わりに撮影に入る。
先に終わったチャンミンは先に上がりらしい。
俺はまだ少し帰れそうにない。
「ユノ。お先にですよ。」
チャンミンは軽く手を上げて俺に挨拶する。
「おーー。」
俺も同じように手を上げてチャンミンに答えてカメラの前に立った。
チャンミンは少しも立ち止まらずスタジオを出て行った。
その背中は本当にコレっぽっちも俺に興味がなさそうで、
もしかして実はそうなんじゃねぇの?と俺は思った。
あのクマの柔らかいやつくれたのも俺の身体を気遣っての事じゃなくて、本当に嫌がらせだったとか?
そう思っちゃうよな。
今日は何度もそう思った。
真っ直ぐ帰るのかな?
聞かれもしなかった。
俺が帰る時には家にいろって。
言う隙もなかった。
とにかく今は目の前の仕事を終わらせよう。
俺はそう決めた。
大きな黒いサングラスにリュックサック。
Tシャツに短パン姿。
右手に持つのはふわふわのクマ。
180cmを軽く越える男が持つ物じゃない。
それでも俺はそいつの手を握って離さなかった。
手を繋ぐ様にぶら下げて歩く。
異様だっただろう。
俺は玄関の鍵を開けて中に入る。
リビングが明るい。
チャンミン居るんだろう?
「ただいまーっ。」
反応無し。
「帰ったよぉー。」
出て来い。
「帰ったって!チャンミンーー。」
俺は玄関でその名前を呼ぶ。
何度も呼んだ。
呼んだよ。
なのになんで出て来ない?!
「はいはいっ!」
面倒臭そうな返事をするなっ。
「はい。ただいまチャンミン。」
「はい。おかえりなさい。」
「帰ったよ。」
「分かってますって。なんなんですか。」
チャンミンはとっとと風呂も入って頭はラフに乾かされただけっぽい。
普段もさり気なくお洒落なチャンミンは家着も楽な格好なのにお洒落に見えんのはなんでだ。
「うん。」
「…どんだけ亭主関白なんですか?」
「違うっ。」
別に帰ってきた俺を迎えろって言ってる訳でも、荷物を持てとも言ってる訳でもない。
「俺だったらチャンミンが帰ってきたら嬉しくって出て来て、
んで、跳びついてキスくらいするって話っ。」
「はあ?!」
「ないのか?!」
「アホだ。」
チャンミンは大袈裟に呆れた顔をしてリビングに戻って行く。
「んだよぉ。」
「鍵、自分で開けて入ったんならとっとと中に入って下さい!」
「ケーチっ!ケチケチ、ケチっ!!」
「うるさいっ。僕はそんなキャラじゃない。」
じゃあどんなキャラなんだよ?
あぁ。そうか。ツンでデレだよな!
今はツンか?
デレにしろよな。
全くっ。
いつも通りかよ?
なんか飢えてたのは俺だけかよ?
チャンミンのアホたれ!!
そう心で叫んだらチャンミンが振り返って俺を見て睨んだから心が読まれたのかなと思ってビビった。
そんな訳はない。
「あんた…。」
「…な、んだよっ。」
「それ大事にもって帰ったの?」
「え?」
チャンミンはキッチンに入ると今淹れ掛けだったらしいコーヒーをカップにうつしながら俺の手元を指さす。
クマの事だ。
その返事をする言葉は出てこなかった。
コーヒー淹れてたから呼んでもすぐ出てこれなかったのかな?
って俺はチラッと思ってたから。
「甘くしたら飲む?」
チャンミンはクマに向かってたその指で持ち上げたコーヒーの入ったサーバーを指さした。
「あ…うん?うん。飲む。甘くね。」
「はいはい。」
チャンミンは俺のカップを出して来てコーヒーを注ぐとミルクを多目、砂糖の代わりにチョコレートシロップを入れて掻き回すと少し考えてガサゴソと何かを探し出した。
見つけたらしいそれをカップにポイポイと放り込んで両手に持ってテーブルに置くと、自分はソファーに腰かけた。
「さんきゅ…。」
最後に放り込んだのはマシュマロだった。
3つも入ってる。
いい感じにコーヒーに溶けてふんわりと美味しそう。
チャンミンマジック。
俺は思い出したように荷物をそこに置いてチャンミンと一緒にソファーに腰をかけた。
そしてカップを両手で包み込んでソファーに深く沈む。
「…ユノって…。イメージの裏切りが半端ないよね。」
「何がだ??」
「…いや…。普段カッコいいとか思われてんでしょうに…。」
「そうね俺カッコいいでしょ。」
甘い薫り。
俺は両手のそれをゆっくり傾けて口に流し込む。
「…あちっ。」
「…そんな甘いのとソレ…。」
「…ん?」
「いや……うんユノらしいね。」
チャンミンは狭いソファーで身を引いて冷めた顔で俺を見る。
あぁ。小脇にクマ?
なんとなく手放すのを忘れてた。
「でもその体格と顔にそのクマ…どー見ても可笑しいです。」
「お前がくれたんだろっ!」
似合うって言ったのお前だろう?
「まぁ…ちょっと後悔してます。気持ち悪い。」
やっぱり嫌がらせだったのかよ。
「ずっと持って歩いて来たんだけど?」
「せめて袋とかにいれれば良かったでしょうに。」
「あぁ。そっか。」
俺はカップはテーブルに戻してクマを抱き締めた。
「でも結構役だったよこいつ。」
抱き締めたまんまチャンミンを見た。
抱き締めたいのはチャンミンなんだけどな。
「そう。もう身体大丈夫です?」
あぁ。やっと聞くのソレ?
やっと優しくしてくれんのかと思ったら
ソファーから腰を床に降ろして俺から離れて行った。
「…大丈夫だよ?」
「流石ですね。回復早過ぎでしょ?」
チャンミンは俺に背を向けたまま笑って顔も見ない。
なんかあんまり仕事の時と変わらない。
チャンミンの冷たさはいつもだけど今日は何かに飢えてた分更に上乗せされてる様に感じてしまう。
大した事じゃないいんだろうな。
チャンミンにとっては。
俺の方がおかしいのか。
俺はチャンミンの背中を足蹴にしてぐりぐり押さえ付けてやった。
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