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16…ただいまが言いたくて # 1(指先の記憶 まり様)

ギリギリまでステージに立ってたからか、転役したっていう実感がまだない。



休暇でソウルに帰ってきてるだけのような気がするんだ。



入隊のときと同じように、日本や中国やその他アジアの国々からもペンさんが来てくれてて、みんなの泣き顔交じりの笑顔を見回して、おれもつられて泣きそうになったのに。



事務所でも、スタッフさんたちとハグして、花束もらって、歓迎してもらったのに。



久しぶりに持ち主の手の中に戻った携帯は、休む暇なく着信を告げて鳴いてるっていうのに。



何だろう、何かが足りない。





おれを待っててくれた友人たちと食事していっぱいしゃべって楽しかったけど、なんだか疲れてしまって日が変わる前に家に帰ってきた。



どうしてだろう、普段のおれなら朝まで騒ぐところなんだけど。



休暇で帰ってきたときは、いつだってそうしてたのに。



おれも32だもんな、本物のオジサンになったかな。



ひとりで苦笑しながら部屋のドアを開け、中に一歩入ると覚えのある香りがした。



来てくれてたんだ・・・



おれがハウスキーパー頼むのが苦手だから、おまえが暇を見つけてはウチの掃除をしてくれてること知ってるよ。



きっとおれが帰ってくる日に合わせておれのために・・・



そう思うだけで無性に会いたくなった。



けれどマネヒョンがおまえは仕事だからって言ってたよな。



仕事ならしかたない、何を置いても仕事は最優先しなきゃならない。



それがおれたちを支えてるおれたちのポリシーだから。





「は~~」



リビングのソファーに重い体を沈めて大きなため息を吐いた。



入隊する少し前に引っ越したマンションは、おれには豪華すぎてまだ慣れない。



やたら高い天井と高級家具。



壁一面に作り付けられた本棚だけは、前の家で床に積まれてた本の行き場ができてよかったけれど。



とにかく、おれひとりには広すぎて落ち着かないんだ。



おまえが転役して、引っ越してくるのが待ち遠しいよ。



何やら口寂しくて、上着のポケットを探りマルボロゴールドの箱を取り出し、掃き出しの窓を開けてベランダに出た。



箱から1本出して口に銜え、コンビニで買ったライターで火を点けて煙を深く吸い込んで。



吐き出しながら携帯灰皿を手のひらの上で開いた。



4月も半ばを過ぎたっていうのに、まだ風は冷たい。



東京ではもう桜は散っただろうか。



昔住んでた目黒川沿いの桜並木、キレイだったな。



楊州ではわずかに散り残っていたけれど、ソウルはもう葉桜だろう。



『またそんなとこで。自分の部屋なんだから、中で吸えばいいのに。』



背中からおまえの声が聞こえる気がする。



だっておまえが好きじゃないから、この部屋はおれだけの物じゃないから。



そう答えたら、おまえはきっと照れてふくれっ面するに違いない。

















つづきはこちら→#2
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2017/04/04 (Tue) 08:54 | # | | 編集 | 返信

@-鍵コメし○○○さんへ

コメありです!

わざわざこちらへコメント残してくれてありがとう♡

リアルベースなので、私の中のおふたりのイメージが色濃く反映されています。

お引越しされたユノさんの新しいマンションにはきっとチャンミンさんがお世話にいらっしゃってるはず!という私の思い込みですww

チカさんからお話をいただいたときは、リアルでもパラレルでもOKっていうことだったんだけど、やっぱりリアルで書きたかったから、こんな淡々としたお話になりました。

楽しんでいただけたなら、うれしいです♡

2017/04/05 (Wed) 22:49 | まり #- | URL | 編集 | 返信

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