See more details
Title List

1…69 #4 雪・月・花 (~From.Sweet Drops~ 葉月様)

『69』


2年経っても、ユノはユノだった。

なんにも変っていない。

鈍感なところも、八方美人なところも。

おそらく、また以前と同じようなケンカを繰り返すのだろう。

未来が手に取るようにわかる。

ホント、面倒くさい。

とはいえ別れるとかそういった選択肢はない。

つまり、僕が変わらなければならないということ。

しかしながら、そう簡単に変われない。

そもそも、父さんも父さんだ。

応じたユノもユノだけど。

少しは変わったかもなんて期待した僕がバカだった。

「チャンミンっ」

「なんですか?」

「なに怒ってんだよ」

「怒ってません」

「怒ってるだろうが!ちゃんと言ってくんなきゃわかんないだろっ」

言ってどうにかなるんだったらとっくに言っている。

でも、ユノのそれはもう無意識だ。

どうにかなるレベルじゃない。

「わからないならいいです」

「よくない」

「何がどうよくないんですか?」

部屋へとたどり着き、パソコンの前へと着席した。

マウスに手を置き、メールのチェック。

見れば昨日やり直しを依頼した企画書が届いていた。

添付されていた資料を開き、中身を確認する。

「そういうとこ、お前の悪いクセだぞ!なんでもひとりで溜めこんで、イライラして。全然変わってないなっ」

「ユノだってそうでしょう?僕は何回も言ったはずです」

もう、幾度となく繰り返してきた押し問答。

全く進展はない。

こうやって言い争いに費やす時間がもったいないと思えるほどに。

だから、諦めた。

期待するだけ無駄だと。

なのに、ユノはよくないと言う。

「何回も言ったって、何を?オレにもわかるようにちゃんと説明しろよ」

「遠慮します」

どうせ説明したところで理解を得るのは難しい。

いや、違うな。

理解は得られるだろうが、ユノが実践できるとは思えない。

ならば、説明するのも面倒というものだ。

「チャンミン」

「どいてください。仕事の邪魔です」

「ダメ。ちゃんと話してくれるまでどかない」

頑固なところも相変わらず。

ホント、ため息しか出てこない。

「ため息つくなよ。幸せが逃げるだろ?」

相も変わらず迷信を信じているようだ。

そんなわけないのに。

「言えって」

「たとえ話、しましょうか」

「は?」

「逆の立場だったらどう思いますか?」

「え?なんの話?」

きょとんとした顔は相変わらず間抜けだ。

酷く幼く見える。

「僕がユノで、ユノが僕の立場だったら」

「???」

「わからないならいいです」

「だから、よくないって!」

力任せに腕を引かれ、イスごと回転する。

逃げられないように固定されて、正面から見据えられて。

「ちゃんと教えろよ」

教えるほどのことでもないと思うんだけどな…。

僕の心が狭いんだろうか?

まぁ、確かに独占欲は昔から強い方。

欲しいものは手に入れないと気が済まなかったし。

「チャンミン」

とはいえ、やっぱりユノは鈍感だと思う。

普通わかるだろ。

逆になんでわからないのか教えてもらいたい。

「2年ぶりの再会で、恋人とふたりきりで過ごしたいと思ったりしません?普通」

「え…」

「なのにユノときたら、父さんの誘いにホイホイ乗って…。そりゃ腹も立ちますよ」

2年前なら、思う存分厭味ったらしく言ったことだろう。

そう考えると、大人になったな。

うん。

二十歳そこそこにしては十分だ。

「父さんと話したいんでしたらどうぞご自由に。話は以上です」

手をほどいてイスの向きを直し、再びパソコンへと向かう。

とりあえず仕事を終わらせないと。

もっと早くにユノの帰国がわかっていたなら昨日のうちに片付けておいたんだけど…。

なにしろ、昨日の夜知ったからどうにもできなかった。

しかも、これまた父さん経由。

2年間連絡しなかった僕も悪いけど、待っててと言ってたんだからせめて帰るときくらい直接連絡が欲しかった。

もう少し早く。

とりあえず手紙に場所だけは記されていたから待ってはいたけど。

でも、何時に来るかもわからずに朝から待ちぼうけ。

何度帰ってやろうと思ったことか。

あともう少し、あと5分ってずるずると時間が過ぎ、気づけば夕方。

それならば先に仕事を済ませて来ればよかったとちょっと後悔したほどだ。

ホント、思い通りに行かない。

ユノが絡むと。

十中八九。

計画の無意味さを何度痛感しただろう。

正反対の性格だけに、どうにも噛みあわなくて。

でも、どれだけ腹が立っても、別れようと思ったことは一度もないんだ。

好きという気持ちだけはブレないから不思議。

「ゴメン…」

「何がですか?」

「チャンミンの気持ち、考えてなかった…」

「別にいいですよ。いまさらです」

「よくない」

また、だ。

今日だけで何度その言葉を聞いただろう…。

耳にタコができそう。

「おじさんにはいまから断ってくる。すぐ戻ってくるからどこにも行くなよ?」

「行きませんよ。仕事してるんだから」

そう。

なにはともあれ仕事を片付けないと。

せっかくユノがそこにいるのに、何もできない。

明日は来ないつもりだから、その分まできっちり終わらせておかなければ。

ユノはいつまでお休みだろう…。

まさかすぐに仕事開始ってことはないと思うんだけど。

戻ってきたら聞いてみよう。

これで明日からって言われたらどうしようかな…。

空回りも過ぎると疲労感が半端ない。

イライラを通り越して。

「…」

コーヒーでも飲もう。

少しは気分転換になるだろう。

小銭を手に自動販売機が設置されている休憩室へ。

ブラックの缶コーヒーを1本購入し、戻ろうとして思いとどまる。

ユノは相変わらず甘党かな?

もう1本、甘いカフェオレを購入して部屋へ戻れば、なぜかユノが仁王立ち。

「どこにも行くなって言ったのに…どこ行ってたんだよっ」

「まさかそんなに早く帰ってくるとは思わなかったんで、コーヒーを買いに。はい、ユノの分。ソファでおとなしく待っててくださいね?」

「オレに黙ってどっか行くなよ」

「それ、ユノが言います?」

まったく…。

自分のことを棚に上げて、酷い話だ。

僕に言われて初めて気づいたのか、がっくりとうなだれて、また”ゴメン”と呟く。

別に謝ってほしいわけじゃないんだけど。

「チャンミン、やっぱまだ…」

「怒ってませんよ」

「ウソだ」

「ホントです」

また似たようなやり取り。

2年も経ったって言うのに、進歩しないな…。

僕も、ユノも。











つづきはこちら→#5
--------
今回はお忙しい中ご協力ありがとうございました!!
素敵な葉月さんのブログはこちら→雪・月・花 ~From.Sweet Drops~(葉月様) 







<*ランキング*参加中。
↓ミンホミンホ!ポチっと押して応援宜しくお願い致しますm(_ _)m

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ 二次BL小説へ
*Esperanza*チカ*presents
関連記事

COMMENT

POST COMMENT

(設定しておくと後でPC版から編集できます)
非公開コメント