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5…Momo in the rye #4 (王ロバ2 teftef様)

疑わしそうな表情を隠そうともせず、俺が彼を連れてエレベーターで最上階に上っていくのを見守っているコンシェルジュスタッフがこの仕事が向いているとは思えなかった俺は、思ったより酔っぱらってるのか、後輩に肩入れしすぎだろうか。
本来なら、まずマネヒョンに電話して、なんてことも頭を掠めたけど、その場合このこはどうなっちゃうんだろう、事情聞いてからでも遅くないとか、まあやっぱり、話を聞いていたから、悪い子に思えない。

「あ、入って」
俺の頭ひとつは大きいモモは不安げな表情のまま、ニット帽を手に持って、玄関から上に上がろうとしない。
この間で会ったときよりだいぶほこりっぽいというか、服もコンバースも薄汚れてる。
でっかい目を見開いて、相当怯えられている気がする。

そんなに怖いか。


そうか、
怖いよな。
この子にしたら、よく知らないおじさんだもんな。


「練習生の子だよね、こないだ会ったの、覚えてるかな?俺は君の先輩のユノ、わかる?」
となるべく優しく言うと、うなずいて、
「事情聞かせてくれたら、サンフンさんに連絡するから、だいじょうぶ」
少し目力が緩んで、はい、とうなずいて、
もう一度、入って、と声をかけると、ようやく靴を脱ぎ出した。

このこ、お育ちがいんだな。

おいで、と何度も声をかけないと、ついてこないから、手をとってリビングまでひっぱっていくと、耳を真っ赤にして顔を伏せてついてくる。

「なんか飲む?」
「すいません。」

ソファに自分の荷物を投げ出して、
「コーヒー飲めるの?」
モモくんでよかったよね、と声をかけながら、あまりさわらないキッチンの棚をバンバン開けて、この前誰かが置いていったコーヒーの粉がどっかに残っていたはずだ。

はい、と
もじもじと下を向いているのを見ていると、あの男を思い出して、笑ってしまいそうになるが、また怯えさせちゃいけないと、我慢する。

マグカップを彼の前と自分の前に置いて、
向かい合って座って、
で、どうしたの?と聞くと、
ようやく顔をあげて、思ったより片言の韓国語で話し出した。



モモが言うには、このマンションに住むヌナにここ一週間ほど「厄介」になっていたんだそうだ。
その親切な女性は、気にしないでいつまでもいていいのよ、と言ってくれたとかで、住むところがなくて困っていたモモは大いに感謝して、学校が終わると近くのカフェで仕事帰りの彼女と待ち合わせをしていたんだそうだ。

今日はサンフン先生に夜ご飯をごちそうになった後、いつものカフェに彼女が来ず、連絡をしたところ電話に知らない男が出て怒鳴られて、荷物取りに来いと言われて恐る恐るマンションの前で待っていたら、あのスタッフが出てきて、不審者がいると住人からクレームが入ったと言われて、警察警察言ってたから、ユノ先輩に助けていただいて、ほんとに助かりました。

ううむ、と俺は唸った。


「まずさ、モモくん、親元じゃないんだ、なんで宿舎に入ってないの?」
なんのことですか?という様子で、学校か、事務所から渡された書類持ってる?と聞くと、持ってない、親に送ったと早口の英語で、耳だけで韓国語を聞き取るのもおぼつかないのかもしれないと、紙とペンを持ってきて筆談混じり、英語混じりのやり取りをする。

アカデミーではこっちに身寄りがいない生徒には宿舎を世話しているはずで、というと、わかりません、と英語で返してくるし、その「わかりません」も、宿舎を用意してくれる制度を知らなかったということなのか、宿舎、という言葉がわからなかったのか。

学費は奨学生だからなんとかなってるけど、金がないから住むとこもなくて野宿って、俺の時代じゃないんだから、もう少しちゃんとしてるはずで、
親御さんと連絡とって、こっちでとれる高校卒業資格は希望したら取らせるとか、手配しなきゃいけないんだろうに、
だれも世話してないのかな?

俺が聞いてるモモのおかれている状況はもっと違うはずだけど、迂闊なことを言って間違いだといけないから、あのとき彼が親しそうにしていたサンフンさんに電話してみたけど出ない。

カトクの連絡だけ送って、
今日はもう遅いし、着替えとか貸してやるから、風呂つかっていいよ、ここに泊まっていいから、と言うと、
そんなわけにはいきません、そんなご迷惑を、と騒ぎ出して、
だって、その女性のところには泊めてもらったんだろう、と笑うと真っ赤になる。

さすがに、彼女の意図は、わかってたのか。

そして、この状況について、未成年に対する冗談としては際どすぎたか、俺やっぱり酔っぱらってるな、と反省して、
「ごめん冗談、だけど、ほんとに気はつかないでいい、」
大丈夫、明日事務所には話したげるし、心配要らないよ、
少なくとも、今よりは良い状態になるよ。

と言うと韓国語がどこまでわかったのかは定かでないものの、
真っ赤な顔してもごもごお礼らしきことを言って、ほら風呂いって、とそくすと、ようやく立ち上がって、貸してやった着替えをもって、風呂場に向かった背中を見送りながら、俺はやっぱり顔形はよく似ている、懐かしい男を思い出していた。

昔はあのくらいシャイだった。
今もか、と、パンをかじるチャンミンの顔を思いだし、
いやいや、生意気だ。

その次に会ったときのチャンミン独特の冗談混じりの会話。

「寂しかったですか?」
「そうだなあ」
「どっちですか」
「こんな、みんながいるとこでそういうは照れるだろ、」
「二人っきりの場所で言ったら余計やばいじゃないですか」


本当に生意気にもほどがある、と
ニヤニヤしている自分に気づいて、
いかん、いかん。


それに比べると、モモはかわいいよなあ、
キラキラしちゃって、素直だし、

ありがとうございます、だって。


いかんいかん。









つづきはこちら→#5
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