そして僕達はオレンジ色の恋をする。season3.5 #10 - season3.5
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そして僕達はオレンジ色の恋をする。season3.5 #10

ソファーの持ち手に背中を預け、
寄り掛かった俺の胸に
チャンミンは頭を預けていた。


間違いなく俺の心臓が跳ねているのを
聞かれているだろう。


俺は自分にかけたブレーキを外しそうになるのを堪えながら
チャンミンの髪に指を絡め撫でる。
そしてそこに口付けると、
チャンミンはそこじゃないでしょ?
とでも言うように顔を起こして俺の顔を見た。




唇が







本当に印象的だ。






触れると何時ものように俺をうっとりとさせる。






俺は又この唇に夢中になる前に、
チャンミンの向こうに見える
窓からの景色を敢えて見た。


いつの間にか日が傾いて海に太陽が沈む前。
まだまだ時間がかかると思わせてもその時は始まり出すとどんどん速度を増す。


ここに来て最初にここの景色を見た時、
とても綺麗だと


思った筈だった。





それから?






その後
俺はこの景色を見ただろうか?






チャンミンは?






一度でもこの景色を綺麗だと
眺めた事があるんだろうか?


「…な。
チャンミンはこっちでずっとそんなだったのか?」


「は?」


景色も見えない程、仕事に夢中だった?
慣れないドラマの撮影現場。
初めての人達の中で、必死だったのは確か?


「撮影は大変だろ?」


「そりゃあ。まぁ。」


「ご飯はちゃんと食べれてんのか?」


「…ちょっと?今僕の話?


今は、忙しい…。」


チャンミンは残り少ない時間の中で少しでも俺に触れようと動く。


「なんだよーー俺には何でも話せって言って、
自分は秘密かよ?」


「……食べてますよ。」


チャンミンは少し面倒臭そうに答える。


「なぁ。


たまには立ち止まって
空を見上げろよ。」


「は?」


そう言っても尚
チャンミンは俺を見てる。
お前ってそんなにいつも俺を見てたのか?
俺が居なくてもいつも俺の事考えてた?


仕事をしてても。




寝ても。






覚めても。








俺が








ここに来てそうなってしまったように…。








「空を見ろって。」


「一体何の話ですか?」



あぁ。
沈みかけた夕日はみるみる
海に吸い込まれて行ってしまう。



「っチャンミン!空っ!!」



ここへ来てやっと俺とチャンミンは初めて二人で同じ景色を見た。



「…綺麗だろ?」



「……。」



海も空もあんな青かったのが沈む夕日に全てオレンジ色になって、
それはとても幻想的で言葉を失う。
海に吸い込まれてオレンジは小さくなって、
そして全て海の中に沈んでしまうと夜はやって来る。
それでも、そのオレンジ色の夕日を何時までも忘れられないと思った。
温かくて柔らかいオレンジにいくらでも包まれていたかった。




「あんま、夢中になるなよ。」




それは一体誰に、何に、対して向けられた言葉だったのか




俺自身にも分からなかった。




「………。」




チャンミンは暫く考えて「はい。」と言った。


「帰ったら今度はちゃんとメールするよ。」


「必ずですよ?」


「うん。」


チャンミンの深刻な願い方に俺はすっかり信用を失ってると思わせて思わず笑ってチャンミンを見た。
今度はチャンミンは振り返ったまま窓から見える景色を見ていた。


チャンミンの後頭部が
新鮮だった。


それでいい。





「俺もう、





ここには来ないから。」





俺もすっかり太陽は沈みきり暗くなってしまった海を眺めながらそう言った。





自分に言い聞かせる様に。





俺を心配し過ぎて
もうこんな思いは嫌だ。
とチャンミンは言った。




俺も




チャンミンといた時間が
俺の全てになって
離れられなくなる。




一瞬も離れるのが辛い。




こんな思いはもう嫌だから。




「…はい…。」




チャンミンは正直だ。


全然納得が行ってない顔で
それでも返事するのがかわいい。
そう、思った。


「撮影頑張れよ。」


「ユノはもう、
僕が戻るまで
遊び過ぎないで下さい。」


「あー。うん。」


分からない。
又帰ったら調子悪くなるのかな?
そしたら何かに頼りたい。


でも。


この事はまだチャンミンには言わないでおこう。










そう、決めた。











突然に俺達二人を裂くように
携帯の着信音が鳴った。


マネージャーだ。


俺とチャンミンはテーブルの上の携帯を見て
それでも動けなかった。


鳴り響く着信音を聞きながら
チャンミンは俺の腰に回した手を抜いて俺の手を握った。


握り締めた手を俺は放せず


そのまま着信音を聞いていた。





暫く鳴り続き、プツリと切れる。





ホッとしたのはほんの一瞬で
又携帯は同じ着信音を繰り返し鳴す。





「もう…。」





チャンミンが情けない顔で呟いた。





俺はそんなチャンミンにもう一度抱き付いて息を吐いた。









そして離れた。









マネージャーの到着とチャンミンとの別れを告げる携帯の着信を受ける為に。























(season3.5 完)
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2019/07/16 (Tue) 22:54 | # | | 編集 | 返信

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