そして僕達はオレンジ色の恋をする。season9 -裏side5-
ユノが受けです。
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タイトル別お話の入口はもくじ。から。
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「チャン…ミン?…チャン…ミ…ン…っ?」
ユノが目を覚ましたのはもう翌日になってから。
第一声が僕を探すように名前を呼ぶから意味もなく愛しくなる。
「はい。居ますよ。ユノ。…大丈夫ですか?」
「……いた。チャンミン。
ん……なんか、まだ駄目っぽい。」
「でしょうね…昨日は39度以上あったみたいですから。」
「えっ?!?!そんなにぃー?」
「帰ってきてからの事、覚えているんですか?」
どこまで記憶にあるんだろう?
僕は探る様に聞いてみた。
実は全部知っていましたなんて事…ないよね?
アウトだ。そしたら完全アウト。
ユノが怒るとか怒らないじゃなく、僕のイメージとして良くない。
僕はユノの答えを待つ間落ち着かなくてユノの布団を掛け直したり、
すっかり乾ききった冷えピタを剥がして取りかえる為に新しい冷えピタをゴソゴソと箱から取り出す。
「……んと…覚えてるよ。ここ帰って来たのは。…うん。」
「…それから…???」
僕はちらりとユノを見た。
「それから……ねぇ…うーーん…。」
「え?!覚えてないの?!?!」
「え?!えーー…と。」
「えぇぇ?!?!」
僕は眠りに落ちるまでの事は分かってるんだと思っていた。
あり得ないユノばっかりだったのは確かだ。
ユノはあんな時にでさえ見たまんま正気じゃなかったんだ。
「…え…俺…もしかしてなんかやらかした???なんか大事な事記憶から失くしてる???」
「い…いえ。大丈夫ですよぉ。大丈夫!」
むしろ良かった。最後だけと言うより全部覚えていない方がいっそ安心だ。
僕は焦るユノを慰めて新しい冷えピタを貼ってやる。
「…気持ちい…ぃ。」
「まだ熱がありますからね…。それ貼って大人しくしていて下さい。」
「…うん。」
僕はなんとなく安心して胸がすーっと軽くなった気がした。
取り敢えずバカな事をしたって事はユノにはバレずに済みそうだ。
「あ…桃缶食べますか?プリンがいい?
ユノの好きなイチゴの入ったヨーグルトもありますよ??」
「…ありがと…じゃ…桃缶食べようかな…。」
「分かりました。取ってきますから待ってて下さいね…。」
ユノに言い聞かせる様に髪を撫でる。
寝っぱなしでボサボサに浮き上がる前髪。
死んだ様に眠っていたから後頭部は意外に纏まったままだった。
そんな前髪が愛しくて何度も撫でる。
ユノは目を細めて頷いた。
「…なんか…チャンミン優しいね…いつになく。」
「何ですかそれ。僕はいつでも優しいですよ。ねェ?」
「えー。まぁ…。そうだけどさ。いつも以上にだよっ。」
「そ、そりゃ。病人ですからねっ。仕方ないでしょう?!」
もしかして後ろめたさから不自然に優しくなっているのか??
僕は焦っていつもの調子を取り戻そうと悪態をつく。
「へへ…っ風邪ひいてラッキー…?」
「バカ言ってないで。熱でも計って待ってて下さい。」
「はーい。」
僕はユノに体温計を押し付けるとベッドを離れてリビングへと行く。
冷蔵庫から桃缶を取り出して缶を開け、中身を食べやすい大きさに切ると皿に盛りつけた。
ついでに薬も飲まそうと水も持ってユノの所に戻る。
戻りながら昨日のユノを思い出した。
戻った僕を見てゆらゆらと瞳を揺らし涙を流したユノ。
滅多に見る事のないユノの泣いた顔は僕の目に焼き付いて多分ずっと忘れられない。
あれはやっぱり熱に浮かされた幻のユノだった。
ユノ自身泣いたことも知らないんだろう。
ユノにとってはその方がいいんだろうけど。あんな自分をユノが見られたいとは思えないから。
部屋に戻ってみると、今のユノはスマホを眺めて何かをしている。
多分何かのゲーム。
「あぁー。ほっといたからヤバイ。死んじゃいそう…。」
呆れる。ゲームの世界で何が死んで困ると言うんだ。
まだ熱だって完全に下がった訳じゃないのに、起きたばかりでそんな事が出来るユノが信じられない。
180度別人。
「ちょっとっ!病み上がりでしょ!禁止。」
「えーーマジで死んじゃうからっ!」
「駄目。」
「もぉーー!」
「誰が看病してると思ってるんですか?お?さっさと治さないと仕事に支障が出ますよっ!」
「……はぁい。」
素直に返事をするユノのスマホを取り上げ椅子の上に放る。
昨日のユノとは違い過ぎる。
「チャンミン……?」
「何ですか?熱は?」
「え?あ、あぁ…大分いいよ。」
ユノが計り終わってる体温計を僕に差し出す。それを受け取り表示に目をやると、37.3度となっている。微熱程度だ。
体温計を片付けて、持ってきた桃缶をユノに渡す。
「ありがとう…チャンミン?あのさ。
俺達…仲直り…した…よな?」
「え?」
「いや、ゴメンな。本当あんまり覚えてなくてっ。俺、なんか忘れてる事があるんじゃないか?」
「大丈夫ですよ。ちゃんとユノの気持ちは分かりましたし、ユノも決して僕がユノとやりたいだけとかじゃないってのを分かってるって言ってくれてましたよ。それでイイですか?」
「あぁ!そうっ。そうだよ!
分かってるけど不安になって、変な事言ったり、当たったりして…ゴメンな…。」
「もう、いいんですよ。大丈夫。大丈夫です。」
「…チャン…ミン…。」
まだ不安そうな顔で呟く僕の名前は酷く甘く僕の耳に届く。
「食べないの?これ食べて薬飲みましょう?」
ユノは桃の入った皿を持つだけで食べようとしないからフォークを取ってちっくり刺すとユノの口に運んでやった。
「い、いいよ…自分で食べる。」
「病人ですから。甘えていいですよ。」
「え…?えっ??えぇぇぇ???」
ユノは頭を捻って驚いたような声を出して
何度も頭を捻った。
「…な…なんなんですかねぇ?その反応は?
本当に気分悪いですよねぇ?
優しくないって駄々をこねたかと思って、優しくすれば嫌がるってどういう感じなんですかね?」
理解に苦しむ僕の前で、ユノは左手の指先で左右の眉毛を交互に撫でて顔を伏せた。
それは照れた仕種か?困った仕種か?
「いや…ちょっと待って??駄々こねた覚えはないっ!!」
「駄々でしょ。あんなの。」
「違う…っから!」
僕は桃が刺さったままのフォークをユノの手の中の皿に戻して「待たないですねぇ。」と言ってユノの傍から離れるとベットの端に腰かけた。
「だってっこれは、なんか恥ずかしい…っ。」
そう言って左手を下ろしてフォークを取って桃を突くユノの顔は確かに照れた顔だった。
一体昨日、自分は僕に何をして何を言ったと思うんだ??と僕は思う。
「じゃあキスや抱っこは恥ずかしくないんですか??そっちの方が恥ずかしい。」
「そ、それは雰囲気でさ…っ。」
「は~ん。なるほどぉ。雰囲気があればいい訳ですか?
なるほどぉ。どうされたいんですか?」
「ど…っ。どうって。」
もうユノの顔は真っ赤だ。又熱が上がってるんじゃないかと思うくらい。
僕はこんなおろおろとするユノを見るのが結構好きだった。
ユノのおでこの冷えピタがペロンと剥がれかけているのが意味もなくユノらしく思えた。
僕は呆れてユノのおでこに手を伸ばすとユノがびっくりして身を引いた。
「何ですか?」
「な、何すんだよ?!」
「何って冷えピタが剥がれかけてます。」
「あ…あ、あぁ…そう。」
一体何をそんなに意識しているんだろうと思う。
ユノは自分で剥がれそうな冷えピタを貼り付けて桃を口に運んだ。
「美味しいっ!!」
「それは良かった。」
「うん…。」
なんとなくユノが僕に気を使ってる様で空気が張り詰めてる。
「…僕あっち行ってますね?ユノ。ゆっくり休んで下さい?もし何かあれば呼んで下さい。」
「ま、待ってチャンミンっ。行かないでくれよ。」
「どうして?することもないですし。ユノもなんか落ち着かなさそうだし。治るまではゆっくり休んで下さい?」
「でもっ!いて。」
「……。」
僕は僕でゆっくりもしたかったんだけどユノがそう言うから、一旦立ち上がったのをもう一度ベットに腰を掛けて落ち着いた。
「ごめん。」
「…なんなんですか?別に謝られる様な事はしてないですし、ユノの方がおかしいだけです。」
「だって…。」
ユノは一人でもごもごと言いよどんでちらちらと僕を見た。
「なんか…俺へんな夢見ちゃって…。」
「へ????」
「なんか…それ思い出したら、変に照れちゃって…。」
「ど、どんな夢…?」
僕はドキリとした。
まさかの昨日の事が夢と現実でごちゃ混ぜになって夢だと言ってるんじゃないかって。思って怖くなる。
「いや。いいっ!いいんだっ!!」
「いや。いいじゃなくて言ってみて。」
僕は突然くらくらとし出した。
なんだろう??ヤバイ。ヤバイんじゃないかって。
そう思ったらかーーーっとし出して胸がバクバクして、ヤバイ。
意味もなく寝込みたくなった。
「言って!!」
「いいって!!」
「あぁ~?頑固ですねぇ!!!!」
「いや。お前に言われたくないからっ!!」
なんか凄くイライラしてきた。
「勝手にして下さい!!僕は自分の部屋で寝ます!!」
「チャンミン行くなって言っただろ!ここにいろっ!」
「あぁ?偉そうですっ!!!」
「チャンミンっ!!」
又だ。
又こうやって僕達は繰り返し喧嘩して、嫌いになって、
仲直りをして、やっぱり好きだと思ったかと思うと又、嫌いになる。
…本当にくらくらする!と思った。
次へ→
つづくよ~つづくよ~(๑′ฅฅ‵๑)どこまで???
またかぁ…って皆の代わりにつぶやいとくから(爆)
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